アニメ制作会社が自分で儲けられるようになるにはどうすればいいのか
今、アニメ制作会社では残業が当たり前。月何十時間も平気で仕事しなければいけない環境が問題になっています。
その件で以前、なぜ残業が当たり前の環境になってしまっているのかを、クリエイター目線で記事にしました。
アニメ制作にかかわらない部外者が何言ってんだと思われるかもしれませんが、アニメ好きとしてこれらの問題は身内だけで抱えるのではなく、広く多くの人に知っていただかなければいけないと思ったので今回も語っていこうと思います。
前回はクリエイター目線で語ったので今回は会社目線で解説します
アニメ制作会社の現状
今アニメ制作会社では下のYahooニュースでも話題になっているように、業界全体で見ればかなり売り上げや市場規模の拡大などで調子がよく、表面上成功しているように見えます。
しかし、それは実のところ製作委員会を含めた出資者のスポンサー達が収益を得ているだけで、アニメを制作しているアニメ制作会社は5社に1社が赤字という状態だと報じられているのです。
アニメ業界は近年急速に成長し、市場規模は2兆円を超えてきているにもかかわらずこれだけの赤字を計上している会社が多く存在しています。
そのせいもあり、アニメ制作会社の離職率が9割近くにまでなっており、正直に言って「働く」という状態じゃないのが現状です。
アニメ制作会社が増収に至るには?
ではどうすればいいのか?
昔は「製作委員会方式」でも資金周りがうまくできていたのかもしれません。今ほど質の高いコンテンツを要求されることもないですし、膨大な量のアニメを作らなくてもいいわけですからスタッフにも余裕が生まれます。
けれど今その制度は限界なんです。アニメの質と量を維持するためには「製作委員会方式」という今までの方法では処理しきれない。
じゃあ変えるしかない。質のいいコンテンツを作れるようにどこからか潤沢な制作資金を得てアニメーターたちにゆとりを持って制作してもらい、効率的な作品の二次利用収益を得る方法を確立しその収益で「自己投資」を行い規模の拡大や次の作品の制作を行う。
これが出来れば理想です。ただ現実はそう甘くありません。まず「潤沢な制作資金」を得る方法が無いのです。「製作委員会方式」はスポンサーが多すぎて制作費上げてもらうのは厳しく(詳しくは上記の私の記事で書いてます)、テレビの広告費から制作費の調達する方法は、放送権を買って放送している現状ではこれも厳しい(これも上記の記事で)。「パートナーシップ方式」などの大手配信サイトへの放映権の売却による制作費確保も枠が少なく、現状テレビほどの集客力が日本であるとはいいにくいためヒットするかどうかはわからず二次利用収益につなげずらいなど、放映権は売れると莫大な金額を得ることはできますが、そのメディアがあまり視聴されなかったりすると人気がでない可能性もあるのです。
そのため著作権使用料を払ってもらって複数のネットメディアに放送してもらった方が人気がでる場合もあるのです。(放映権は独占放送であるため集客力があるメディアでなければ売れない)
アニメというのは映像作品である以上、映像作品の頂点に位置するテレビに認めてもらえず製作費を得られない現状では正直厳しいです。テレビ以上の集客力を持ちなおかつ製作費をくれる他メディアがどうしてもないのです。時折ある意見で「じゃあYoutubeはどうなんだよ~」との意見があると思いますが、Youtubeは製作費を広告費からもらえるわけではない(視聴回数で微々たる量はもらえるが)というのと、いつでもただで高画質で見れるという特性上Blu-rayボックスの売り上げの大幅な減少がみられるかもしれない懸念があります。
しかし、集客力自体はテレビに負けず劣らず(テレビの視聴者数は人気な番組だとだいたい3000万から4000万人ぐらいらしいのでそのぐらい再生されればだけど)だと思うので、今後さらにYoutubeが拡大し、二次利用収益で制作費を回収できるくらいヒットすることが出来れば問題はないかもしれません(その点に関しては「製作委員会方式のように沢山の会社がいた方が二次利用収益の回収効率はいい」)
つまり、今アニメ制作会社がやるべきこととしては、「請け負い」という今までの方式から離れて自らマーケティングしていけるようになるためや、労働環境の整備、アニメーターの育成環境の整備するための「人材の育成」を積極気にしていかなければ生き残れなくなる時が来るか思われます。
そして業界全体としては、アニメ制作会社同様に「人材の育成」はもちろんのこと、今後「アニメ」をどのようなものと定義して広めていくのか、どのような方法で売っていくのかを考えていく必要がありそうです。
____________
そして最後に、これは私の憶測と言うかしょうもない考えなのですが、もしアニメ業界が変わっていったら、今まで「製作委員会方式」でスポンサーをしていた会社達はどのような立場になってしまうのかと言うことでちょっと考えたんですが、やはりできた作品の著作権はすでにアニメ制作会社が保持しているわけなので、今度はそこがグッツ制作を依頼される形になるのでしょうかね?
それともテレビ局に、私たちがスポンサーになるからアニメの放送枠を用意してくれと交渉して、テレビ局がまた広告費からアニメ制作を依頼するような環境になっていくのでしょうか?
それとも新しくできた他メディアに投資して、そこでアニメを放送していく投資者のような立場になるのでしょうか?
それが少し気になっただけですすいません(笑)
アニメ業界の他の問題も解説しています↴